家庭の浴室を有効に、快適に利用できる浴室暖房乾燥機は、冬場や雨天時に洗濯物を乾かせるとともにカビの発生を抑え、寒さ対策・ヒートショック予防策としても有効なアイテムです。
現在、浴室にも脱衣所にも換気扇しかないご家庭はもちろん、換気扇が無いご家庭にも、後付けで浴室暖房乾燥機を設置できます。
浴室暖房乾燥機を後付けするには、浴室の設置スペースだけでなく、換気口や配線の有無、配電盤の使用状況などによって工事内容が変わります。
工事費用に大きく影響するので、ご自宅の状況を可能な範囲で下見をしておくと、見積もり時までスムーズに進みます。
また、近年では冷却もできるエアコンを脱衣所に設置する家庭が増えています。
実は、浴室暖房乾燥機と脱衣所用エアコンの設置にかかる費用に大きな差はありません。
本記事では、浴室暖房乾燥機の後付けと脱衣所用エアコンについて紹介します。見積もり前にぜひお役立てください。
浴室暖房乾燥機のメリット
浴室暖房乾燥機は、外に洗濯物を干せない雨の日に活用できて、冬は浴室を暖めておける非常に便利なアイテムです。
浴室暖房乾燥機が付いていない浴室でも、リフォームによる後付け設置が可能で、年々人気が高まっています。
浴室暖房乾燥機を設置するメリットは、大きく分けて3つあります
1.浴室のカビの発生を防ぐ
浴室暖房乾燥機を設置する1つめのメリットは、浴室のカビの発生を防ぐことです。
浴室に暖房がないと、冬場の入浴時に浴槽のフタを開けっぱなしにしたりシャワーを出しっぱなしにしたりして、温度を上げようとしがちです。
入浴時の寒さを和らげると同時に、カビの発生につながります。
2.雨天時に洗濯物が乾かせる
浴室暖房乾燥機があると、洗濯物が乾きにくい雨天時や曇り空のときにも非常に重宝します。
部屋干しをした場合、洗濯物に残った汚れや洗濯槽に付いたカビが原因となり、洗濯物に臭いがついてしまいます。
また、部屋干しの場合は室内に湿気を及ぼし、「洗濯物が乾きにい」などの問題もあります。
対して、浴室暖房乾燥機で乾いた洗濯物は臭いもつかず、外で干したようなふわふわ感も出せるのです。
浴室に洗濯物を干すことで、「室内の場所を取らない」ことも、浴室暖房乾燥機で洗濯物を乾かすメリットです。
3.ヒートショック予防にも効果的
2つ目は、近年注目されている『ヒートショック』の予防です。
ヒートショックは、室内と浴室の温度差が激しい冬場に起きやすいのが特徴です。
そのため、入浴前に、浴室暖房乾燥機を稼働させて脱衣所と浴室を開け放つことで、両スペースを温めるためヒートショックが防げます。
ヒートショックは、急な温暖差によって血圧が上下に大きく変動し、心臓や血管に異常が生じて心筋梗塞や脳卒中を引き起こし、めまいや失神などが起きる症状です。
ヒートショックが発生する主な場所は「洗面所」「浴室」「トイレ」などの場所で、前述のとおり「冬場の冷え込んだ時に起こりやすい」といわれています。
ヒートショックは、年齢が若い人よりも主に以下の条件に当てはまる人が、血圧の急上昇により、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こしやすくします。
- 高齢者(一般的には「65歳以上」と定義されている)
- 動脈硬化が進んでいる高齢者
- 高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を抱えている人
上記に当てはまる人が家族に居る場合は、冷暖房機能のついたエアコンを設置し、温度差をできる限りなくして、血圧が乱高下しないようにすることが大事です。
ヒートショックを予防するには、以下のポイントに気をつけましょう。
- 入浴前に脱衣所や浴室を暖める
- 湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安 にする
- 浴槽から急に立ち上がらないようにする
- 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
- 入浴する前に、同居者がいれば一声掛けて入浴を意識してもらう
参考:消費者庁:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
浴室暖房乾燥機の後付けについて
ほとんどの浴室では、大掛かりなリフォーム工事をしなくても、浴室暖房乾燥機が後付けが可能といわれています。
しかし、なかには設置できないケースもあるため「設置が可能な浴室」と「不可能な浴室」について解説します。
浴室に暖房乾燥機を後付けできるタイプ
浴室への暖房乾燥機の設置工事は、在来工法でも、ユニットバスでも可能です。
設置する天井か壁がフラットで、はめ込みスペースがあり、すぐ近くに照明器具など邪魔になるものがなければ問題ありません。
既存の換気扇があれば、その換気穴を利用して後付け工事ができます。
換気穴を利用する場合は、配線などの工事が簡単になるので工事費が抑えられます。
換気扇は天井タイプが望ましいものの、壁に付いているタイプでも大半は可能です。
換気扇がはじめから付いていない場合でも、新たに穴を開ける新設工事で対応できることがあります。一度、業者に相談しましょう。
浴室に暖房乾燥機を後付けできないタイプ
浴室に暖房乾燥機を後付けできないタイプは、設置する天井に凹凸がある場合や、ドーム型の天井になっている場合です。
設置面は平らであることが条件であり、平らでない場合は設置が困難になります。
また、天井に付いている照明器具の大きさや形状によっては暖房乾燥機の設置スペースがとれず、工事が難しいケースもあります。
いずれの場合も、実際に施工業者を呼び、相談しながら見積もりを依頼しましょう。
その場合「見積もりそのものにも費用がかかるのか」自宅に業者に来てもらう前に、確認をしておくと安心です。
また、暖房乾燥機を設置する工事前に気をつけておかなければならないのは、工事で天井か壁に穴を開けるため「原状復帰ができない」という点です。
持ち家ではなく、賃貸住宅の場合は、退居時に「原状復帰すること」が条件になっています。
原状復帰できない場合は、高額の請求を求められることがあるので、必ず工事前に大家さんか管理会社に確認しておきましょう。
浴室暖房乾燥機の種類
浴室暖房乾燥機は、取り付ける場所によって大きく2種類に分かれます。
- ビルトイン(天井埋め込み)タイプ
- 壁掛けタイプ
また、浴室暖房乾燥機の熱源には電気式とガス式があり、それぞれ特性が異なります。
上述した浴室暖房乾燥機について、自宅の浴室に対応できるタイプを把握しておきましょう。
浴室暖房乾燥機の取り付けタイプ
浴室暖房乾燥機には、以下2種類の取り付けタイプがあります。どのタイプが取り付け可能なのか、浴室を確認してみましょう。
ビルトイン(天井埋め込み)タイプ
ビルトインは天井に埋め込むタイプで、取り付けた後も天井がフラットになるため、見栄えがすっきりするのが特徴です。
ビルトインタイプは、新築時に多く採用されていますが、後付けでも可能です。
ただし、天井裏に機器を取り付ける空間が必要なこと、天井面に機器の設置スペースが空いていることが条件となります。
すでに天井に換気扇が付いていれば、換気扇との取り換え工事で済むことが多く、穴あけ工事の費用を省けます。
壁掛けタイプ
壁掛けタイプは、天井裏に空間が無かったり、天井面に凹凸があり取り付けられない場合に採用されるタイプです。
設置面が外壁に沿っていれば問題ありませんが、壁面の裏が居室などの場合は換気ファンを延ばす工事で対応します。
エアコンのように壁に取り付けるので、穴あけなどの大規模な工事が不要です。すでに換気扇の換気口があれば、その換気口を利用できます。
浴室暖房乾燥機の方式
浴室暖房乾燥機は、電気式とガス温水式に方式が分かれており、それぞれ特徴が異なります。
主な特徴として、電気式は初期費用を抑えられる一方、稼働までに時間を要します。
ガス温水式は取り付け費用がかさみますが、すぐに稼働するというメリットがあります。
双方の特徴を理解したうえで検討することをおすすめします。
電気式
電気式は、温風が出るまでに時間がかかるものの、熱源機が不要なため設置費用が低めというメリットがあります。
ヒーター式とヒートポンプ式があり、それぞれの特徴をご紹介します。
ヒーター式
ヒーター式は、機器本体の発熱によって周辺温度が高くなるため、周辺に影響が出やすく、設置場所に制約があります。
起動してから温風が出るまで時間がかかるほか、熱量が若干落ちるため、大量の衣類を乾かすのには不向きです。
しかしながら、後述するヒートポンプ式に比べてコンパクトで低価格帯のものが多いので、一人暮らしや初期費用を抑えたい方など、コスト重視の方に適しています。
ヒートポンプ式
エコキュートなどに使われているヒートポンプを使います。
ヒーター式に比べ、乾燥・暖房能力が高く省エネ性能にも優れている一方、初期費用は若干高めとなっています。
ヒーター式より風量が強く乾燥能力に優れているため、洗濯物が大量に出る大人数家族の衣類乾燥に向いています。
ガス温水式
ガスで温めた温水を使用するガス温水式は、沸かしたお湯を循環させて暖房や乾燥を行います。
温水を温める熱源機を設置する費用がかかります。
電気式よりもパワーがあり、大量の衣類乾燥に向いています。温風が出るまでの時間が短いというメリットもあります。
浴室暖房乾燥機を後付けする際の費用
浴室暖房乾燥機の後付けにかかる費用は、大きく分けて本体費用と工事費用があります。
本体費用は、「電気式」と「ガス温水式」で違いがあります。目安は以下のとおりです。
- 電気式:グレードにより違いがあるが、おおよそ15万円
- ガス温水式:電気式よりも若干高めで、相場は20~30万円程度
工事費用に関しては、本体価格込みで依頼できる業者が多いものの、設置条件によってさらに追加料金がかかることがあります。
実際に掛かる費用や内訳については、浴室暖房乾燥機を設置する現地の状況によって異なります。
専門業者に現地の状況を見てもらい、見積もりを依頼しましょう。
なお、賃貸物件の場合は通常退去時に原状回復を求められることがあります。
浴室暖房乾燥機設置の見積もりを取る前に、大家さんか管理会社に確認をとるようにしましょう。
浴室暖房乾燥機を後付けする際の注意点
浴室暖房乾燥機を設置する前に、分電盤の空き状況(ブレーカーの使用数)と天井の開口部サイズの2カ所は確認しておきましょう。
浴室暖房乾燥機のサイズは統一ではないため、浴室の天井や壁の設置スペースによって対応機種が絞られます。
あらかじめ設置スペースの大きさも測っておくと良いでしょう。
分電盤の空き状況
浴室暖房乾燥機の電源は、コンセントではなく分電盤から直接電源を取ります。
分電盤は自宅のブレーカーが集まっている装置で、その中に使用していないブレーカーがあれば問題ありません。
無い場合は、増設工事で対応します。
天井の開口部のサイズ
浴室暖房乾燥機を付けるには、外部への排気口が必要です。
天井の換気扇を取り換えてビルトインや天井付けタイプを後付けする場合、天井の開口部をそのまま利用できるので大きな工事は不要です。
ただし、浴室暖房乾燥機には統一規格がないため、現在の開口部と大きさが異なる機種を付けたい場合は、開口部を調整する工事が必要になります。
もともと換気扇が無い場合は、開口部の新設工事・電気工事・配管ダクト設置工事といった工事費用が発生します。
脱衣所に冷房機能があるエアコンを設置する
暖房と乾燥以外に、冷房機能があったほうが便利とお考えの方には、浴室暖房乾燥機ではなく、脱衣所用エアコンを設置するという選択肢もあります。
以下で脱衣所用エアコンを設置するメリットや、広さに応じた選び方について解説します。
脱衣所用エアコンを設置するメリット
脱衣所用のエアコンは冷暖房機能があるため、夏場は涼しく、冬場は暖かく、ドライ機能を使えば1年中快適に過ごせます。
冷房機能のメリットは、先に自分以外の人が浴室を利用した場合、脱衣所の熱気を下げておけること、お風呂上りにひんやりとした心地良さを味わえることです。
冷暖房機能を兼ね備えているエアコンですが、実のところ設置費用は浴室暖房乾燥機と大差ありません。
特に夏場の冷房機能に魅力を感じる方にはおすすめします。
脱衣所用エアコンの選び方
エアコンには、それぞれ適切な広さの基準が明示されています。脱衣所のスペースに応じたものを選ぶと良いでしょう。
ただし、外気温の影響を受けやすい「半畳くらいの大きな窓」がある場合や、構造上「配管を一般より長めにとらなければならない」といった場合はエアコンが効きにくくなります。
このような場合は、実際よりも広い範囲に対応できるモデルを選びましょう。
設置費用は、浴室暖房乾燥機と同様、本体の費用と工事費用に分かれます。
本体費用はおおよそ4万円。工事費用は、配管用の穴を設ける、専用の配線工事が必要になるなど、状況によって大きく異なります。
脱衣所用エアコンの設置を検討する際は、業者を呼んで事前見積もりを取りましょう。
後付けは浴室暖房乾燥機とエアコン2択で考えてみる
浴室の空調は、換気以外にも温度・湿度調整ができると非常に便利です。
一般的には暖房乾燥機が広く認知されており、各メーカーからも多数の機種が発売されています。
設置費用の差が少ないのであれば、夏場の熱気を冷やす冷房機能が付いたエアコンも賢い選択のひとつといえますが、浴室暖房乾燥機とエアコンのどちらも、稼働させれば電気代が増えることを計算しておきましょう。
いずれにしても、現在の浴室環境やご使用頻度などに合わせて、より快適に過ごせる機器を選びましょう。
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